ノット・フリーチベット


2008/4/16

『100人中、99人が同じことを大合唱しているときってのはたぶんはずれてるぞとうたがったほうがいい。
むしろ、60人、70人が言っているときのほうがリアルなんだろうなと思います。』
(ほぼにち手帳より引用。”森達也さんが「問わず語りの青春論。」の中で”)

「フリーチベット!」

日本でも、いたるところで聞かれます。
メディアの報道でも各国で同様の運動がおきているとのこと。

でもね、この種の活動の情報源って、報道によるトコロが大きいんじゃないかなあって思います。

そして、、報道って商業的側面がある以上、一般にうけるように報道しやすい。。。

「悪くて強い中国vs神聖だけど弱いチベット」
っていう勧善懲悪的構図がわかりやすくて、その構図にそった報道になってしまっているかもしれない。
「あーーー、やっぱり中国は悪いやつだ!悪いやつだ!」って言っちゃえるような情報のほうが受けるし、お金になる。。。

いや、、報道が真実じゃないっていっているわけじゃなくて、一方からの情報だけをもとにして判断を下すことの危険性があるんじゃないかなぁと思うんです。

今、僕は中国にいます。
この地では当然チベット問題も全く違ったとらえかたをされています。

中国側からみたチベット問題像。
それをちょっと紹介してみます。
日本でみられる報道とあわせてみて、、少しでも真実に近づけたらなぁ、、と思うんです。

中国で言われている主張は下記の通り。

主張1
そもそもチベットは元の時代から中国の領土の一部だった。現在の中国はその当時からの領土を継続統治しているにすぎない。
欧米諸国についても、独立を求めている地域があるにもかかわらず、中国の問題が過剰に攻撃されるのには恣意を感じる。
ex. イギリスの北アイルランド問題、カナダのケベック問題等

主張2
欧米各国は社会主義政体の中国を敵視していて、解体してその力を弱めようと考えている。そのために、チベットやウイグルの独立を補佐している。
後に説明する、欧米メディアによるチベット関連の報道が歪められているのもそのせいである。

主張3
チベットの一般市民は独立したいなんて考えていない。
中国統治の下でよい治安、経済的繁栄を享受していて、むしろ中国統治を歓迎している。
中国の統治をよしとしないのは、中国政府によってその支配的地位を追われたチベット権力者たちであり、彼らは国外から今回の暴動を引き起こした。

主張4
チベット問題に関する欧米の報道は、中国を悪者にするように歪められたものだ。
右記URL参照 http://www.anti-cnn.com/
(↑写真の捏造を行っていたり、写真の解説でネパール軍兵を中国兵としたりしている、との主張。。英字だけど、わかりやすく記述してあるから、見てみるとおもしろいかも。)
また、今回の暴動では、チベット人が漢民族を殺害した。凶暴なのはチベット人である。
これについては、欧米のメディアでも報道がなされた。
右記URL参照 http://www.guardian.co.uk/world/2008/mar/15/tibet.china2
(↑guardianは英国の新聞。暴動発生時にチベットにいた外国人旅行者の証言をあつめてある記事です。チベット人による突然の暴力が列挙されています)

まとめると、以上四点。
本当はほかにもいくつか興味深い意見があったんですが、煩雑になるんで、また別の機会にでも紹介したいと思います。

どう、でしょう。
なるほど、とうなずける部分もあれば、、うーんと首を傾げたくなる部分もあったかと思います。
それぞれの主張が一定の真実をもっていて、それはきっと、、決して、、0か100じゃぁない。30だったり90だったり。

僕は、全体に、なるほど、と思いました。
そういう見方もできるなぁって。。

そうやって見てみると、日本に流れてくる情報だけを見て、フリーチベットが当然だと思っていた自分に気がつきます。
あーーー、なんて危うい判断の仕方してたんだろーーーーって。
中国側政府の弁明とか説明とか聞いていると、「あ、、また情報操作だーー」
って思うのに、日本で受ける情報には比較的ノーガードでした。
日本にはいってくる情報も同じだけの危険性をはらんでいるのに。
国内の話じゃないから、操作もしやすい。
いや、、、、うそを報道しているとは思わないけれども、1%の事実を99%の事実のようにみせるようにみせているかもしれない。。

僕は、まだ、チベットが解放されるべき理由を見つけることができません。

補記1
中国によるチベット支配の正統性と、その過程における人権侵害の問題は別個に議論すべきだと思っています。
「中国の支配において、人権侵害があった。だからチベットは独立させるべきだ。」っていうのはあまりにも飛躍した議論じゃない!??と思うのです。
人権侵害をなくすべきだーーーっていう話になるべきだもの。

ちなみに、ダライラマはチベット独立を主張しないといっているようです。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080414-OYT1T00110.htm

補記2
いや、突然こんな話を持ち出したのは、宿の中国人スタッフとチベット問題について語らう機会があったから。
全く別の話になっちゃうけど、いー奴なんだ。彼。毛くん。

補記3
この記事、実は数日前に書いたんだけども、、amebloがまーーーったく動いてくれなくてアップできなかった><;; もう、ブログの引越ししようかぐらい思ってます。

    • 10円パン
    • 2008年 4月20日

    1 ■モンゴルの場合と比べてください
    清帝国の外蒙古は独立して人民中国の北京政府も国家承認しているんですよ。北京政府は民族自決権を認めるべきです。

    • DinoSwift
    • 2008年 4月20日

    2 ■無題
    主張1への答え
    元の時代から中国の一部だったとあるが、元はモンゴルであり中国ではない。
    またチベットは独立国であり、中国侵攻の前には外交官が中国側と交流をしていた。
    (ただしチベットは中国の過剰な干渉を断っていた)

    主張2
    欧米や日本の主張は「弾圧・虐殺」のすみやかな停止であり、独立云々は関係ない。
    また最高指導者のダライ・ラマも独立を主張してはいない。

    主張3
    国外からチベットの暴動を起こしたという時点で矛盾している。
    チベット亡命政府は中国政府の所為でチベット国内への「政治的」な影響力は年々弱くなっている。
    また中国支配によって生活環境がよくなったというのは押し付けでしかなく、「自称近代化」の所為で漢人とチベット人という民族での貧富の差が激しい。
    もちろん貧しくてまともな生活ができてないのはチベットのほう。

    主張4
    歪曲報道・誤報は許されざるべき行為だが、
    元凶はいまだにチベット国内における取材活動を認めない中国にある。
    1ヶ月間経って取材を認めたのは1度きりで、それは自由な取材ではなく中国当局がルートを決めた特定の場所のみの取材。
    チベットは現在、外部のものが入れなく完全な孤立状態にある。

    (へ´ω`) どうプラスに考えても中国の主張は受け入れられない。

    • さかまた
    • 2008年 4月20日

    3 ■はじめまして
    たしかに、正しい情報を見極めるのは難しいですね。

    独立国の面から考えると、なぜモンゴルは独立OKだったのに、
    チベットの独立は許可されなかったんでしょうか?
    ま、昔話しですが…

    中国での都市での学校教育で、反日と日本人は殺すに値すると、
    教えていると聞いたのですが、それって本当ですか?

    あと、籍が二種類あって、地方の人々は同じ中国に住んでいながら、
    都市に永住する権利が無いという、人権無視なことは本当なんでしょうか?

    • DinoSwift
    • 2008年 4月20日

    4 ■無題
    (へ´ω`) 追記。

    中国はチベット問題を国連の議題に挙げられることが嫌で常任理事国の立場を利用して、「人権問題」を議題にあげることを拒否しました。
    「国連の査察団がチベット入り」という流れにならないようにするためだと思われます。

    本当に非がないのであれば、なぜこうも隠し続けるのかっていう話です。
    中国にいないからわからないですが、中国メディアが流しているのはひたすら「西欧諸国がバッシングする。中国かわいそう」でしょ。

    ちなみに長野の聖火リレーでスタート地点の善光寺がスタート地点に場所を貸すのをやめました。
    これに対して中国のネットのコミュニティーでは放火などの犯罪予告や呼びかけを行っています。

    • DinoSwift
    • 2008年 4月20日

    5 ■無題
    (へ´ω`) それともうひとつ追記。

          チベット人はどちらかというと
          漢族のような人種ではなく
          ベトナム人のような容姿をしています。
          民族的にも「中国人」ではありません。

    • ゆい
    • 2008年 4月20日

    6 ■無題
    >そもそもチベットは元の時代から中国の領土の一部だった。現在の中国はその当時からの領土を継続統治しているにすぎない。

    うーん、いくら中国側の主張の紹介とはいえ、こんなことを堂々と書ける神経が理解できない・・・。

    • kn
    • 2008年 4月20日

    7 ■少数民族
    漢民族以外の少数民族にはそれぞれ
    差別的政策がなされています。
    ある民族はオリンピックなどの国家代表になれない。
    漢民族が支配しているのだからしかたないと考えているようです。
    もともと中国は支配している民族が入れ替わり立ち替わり(元はモンゴルです)
    統合、分裂、戦争を繰り返しているのであって、「長い歴史を持つ中国」という国は存在しません。
    現在の中国がおそれているのは、チベットをきっかけとする国家の分裂、内戦だと思います。
    弱者を犠牲にして存在する虚構の平和か、痛みをもっても民主化し、自由を手に入れるか・・
    中国の富裕層は前者を選びたいのでしょう。

    というのが個人的な理解です。

    • cotton
    • 2008年 4月21日

    8 ■無題
    >10円パン  さん
    元の時代から支配してたことと支配の正統性主張するのは少々弱いですね。 でも、、そもそも支配の正統性って難しいですね。。一民族一国家が正しいというわけでもなさそうですし。。

    >DinoSwift さん
    おっしゃるご意見、もっともです。
    特に、主張4に対するご意見は僕もまったく同意見です。中国側で情報操作を行おうとしている部分に非常に大きな問題があると思っています。
    チベット人と漢民族の民族の違いですが、、それだけでは、チベットにおける中国統治の正当性は失われないと思っています。

    >さかまたさん
    コメントありがとうございます!!
    ミクシーのほうにもコメントいただいていて、ありがたいです。お返事はミクシーのほうにしました。

    >ゆい さん
    そかーー。不愉快な気持ち味あわせてしまっていたら、申し訳ありません。
    でも、先方の主張を知ることで、より確からしい事実に近づけると思ったしだいです。

    http://ameblo.jp/cottonton/

    • モトクロス
    • 2008年 4月21日

    9 ■無題
    はじめまして、ミクシィからきました。
    日本では中国からの報道規制を逆に受けていて、
    欧米より抑えた報道をしているのをご存知ですか?
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E4%B8%AD%E8%A8%98%E8%80%85%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E5%8D%94%E5%AE%9A
    http://newsing.jp/entry?url=jp.youtube.com%2Fwatch%3Fv%3DXxouwq0axBs
    他国の報道に規制をかけ、自国の虐殺やチベット人の二級市民扱いには内政問題とする中国政府への批判が全く感じられないブログ主の考えに恐怖を感じます。
    日本にいたら、日本政府のココがダメだ、どうしかしないと、とか周りで言ったりしませんでした?
    中国ではそれができないのではないのですか。

    また愛国無罪は立派な犯罪です。
    国神社のこま犬の台座にペンキスプレーで落書きをし器物損壊罪で有罪判決を受けています。
    http://beijing.exblog.jp/5359879
    昨日聖火リレーの出発点を辞退した国宝の善光寺にペンキスプレーで落書きをされました。
    http://www3.nhk.or.jp/news/K10040968211_01.jpg
    http://jp.youtube.com/watch?v=GsIr5qoBqkk

    在日中国人が集まる掲示板では善光寺に火をつけるからガソリンもってこい、
    または26日長野でスはタンガンでビリッとやれば傷がつかない(これはチベット人に行った拷問のひとつに似ています)、など犯罪予告ととれるような書き込みがあります。
    http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20080421-350811.html
    http://www.youtube.com/watch?v=jS6xhNnumbI

    カルフール店内でのデモの状況です。
    http://www.youtube.com/watch?v=rf3jBdsTg-8
    確かに世界中で報道が加熱しているとは思います。
    ですが様々な報道を知って判断するのは自分自身です。
    情報が自由に入らない国で教育された人の考えは、
    どうしても一定の方向に偏るのではないでしょうか。

    • isur
    • 2008年 4月22日

    10 ■ダライラマ
    テレビでどっかのおっさんが言ってた言葉で
    「世界の人はダライラマよりチベット人になるべきではない」
    ってました。
    ダライラマ以上に世界の人が反応してるから、すっげぇ~なるほどって思いました

    • ume
    • 2008年 4月22日

    11 ■無題
    >100人中、99人が同じことを大合唱しているときってのはたぶんはずれてるぞとうたがったほうがいい。

    自分もそう思います。
    英国では「賛成全員一致」というのは「ありえない」そうで、否決対象なのだそうです。
    全員一致というのは、よく考えていないか、議会工作が働いた結果なのだそうで・・・。

    以下はmixiのトピックスに載せようと思ってやめた文章です。未完成な上突っ込みどころも多かったのでこちらに転載します。

    なぜ「フリーチベット」に参加したのか?
    自分にそれを考えるきっかけを与えてくれました。

    昨日このトピックスを見て、考えて出た結論は「結局自分には何もできない」というものでした。
    最終的に何をやりたいのかといえばチベット人の人命を救うことです。
    それは中国人を殺してなるものではありません。
    また、ダライ・ラマ14世はオリンピックの聖火リレーの妨害に対して「自重せよ」というメッセージを送っています。
    実際、外的な力が働けば働くほど、中国政府は中国国民をまとめ易くなり、世論を抑え込んで中国国内を治めやすくなるような気がします。

    私はダライ・ラマ14世に従い、非暴力を貫いてチベット人の無事を祈っています。

    • cotton
    • 2008年 4月22日

    12 ■無題
    >モトクロス さん
    コメントありがとうございます。
    中国国内の情報統制の是非について聞かれれば、間違いなく、否です。
    双方の意見を聞いて、その上で、、冷静にみて情報統制がかかっていて、真実でないと思えばそれでいいと思っています。そもそも聞かないで、もしくは頭から否定してかかるのが危険だといっているに過ぎません。
    モトクロスさんが末尾でおっしゃっている通り、各自が適切に判断されればいいなと思っています。

    >isur さん
    本当に!
    フリーチベットで活動している人の、、たぶんほんの一部だけれども、、活動のために活動している気がしていて、、、。。。暴走しそう。
    権利開放のほうへ、、うまく動くといいねーー。
    もしミクシーみる時間あったら、トピみてみて。結構過激よ。

    >ume さん
    ありがとうございます!
    そういう方がフリーチベットの活動されていると思うと、うれしく思います。ミクシーの例のトピでは「自由は流血のうえに、、、」なんてコメントもあって、危なっかしさを感じていたところです。
    フリーチベットとして日本で活動されている方々の大半がumeさんのように中立的に考えてくださる人であること、願ってます。

    http://ameblo.jp/cottonton/

    • 反フリーチベッター
    • 2008年 4月22日

    13 ■DinoSwiftさんって・・・
    チベット人に知り合いいないんだね(爆)?

    >チベット人はどちらかというと
    >漢族のような人種ではなく
    >ベトナム人のような容姿をしています

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